ホームセミナーセミナーレポートダイバーシティ研究会 2021年2月26日開催

セミナーレポート

ダイバーシティ研究会

LGBTへの理解と支援は、どこまで進んでいるのか?

特定非営利活動法人 グッド・エイジング・エールズ 代表 松中 権 氏
KDDI株式会社 人事本部 人事企画部長 横尾 大輔 氏
株式会社丸井グループ サステナビリティ部 サステナビリティ担当 清水 衣梨奈 氏
一般社団法人 Famiee 代表理事 内山 幸樹 氏

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今回のダイバーシティ研究会は、LGBTを取り巻く最新の動向と、企業の取り組み事例を立場の異なる4名の方から、その実践や体験をベースに、お話頂きました。

以下が今回の登壇者4名の講演の要旨です。

■work with Pride / PRIDE指標の現在と未来
グッド・エイジング・エールズ代表 松中 権 氏

work with Prideは、2012年にLGBTQの従業者支援に関するカンファレンスを企画したことが始まりで、今日に至ります。2020年度のカンファレンスは、コロナ禍での開催となり、2日間全てのコンテンツをオンラインで開催しました。台湾からオードリー・タン氏にも参加して頂き、結果的に新しいカタチのカンファレンスの幕開けとなりました。
 2016年に日本初の、職場におけるLGBTQとマイノリティへの取り組みの評価指標として定めた「PRIDE指標」ですが、改めてその策定の目的をお伝えします。

①LGBTQが働きやすい職場環境構築のためのガイドラインとする
②企業の取り組みを表彰することで、働きやすい職場づくりを応援する
③ベストプラクティスを公開することで、広く社会に認識してもらう

今まで、ゴールド・シルバー・ブロンズという評価認定を導入していましたが、2021年度から新たに「レインボー」認定を新設することとし、以下の基準を満たすことを必須条件としました。
「国のLGBTQ関連の法整備に賛同を表明していること(少なくともひとつ)」
「セクターを超えて様々な主体が協働する“コレクティブ・インパクト”によって、他の取り組みを推進すること」
この背景には、日本がLGBTQに関する関連法規の整備が遅れていることや、企業単体での取り組みから、NPOや自治体が「集合グループ」で推し進めることによる社会へのインパクトの必要性が高まっていることがあります。2021年11月に発表予定の「PRIDE指標2021」では、初のレインボー認定による、今まで以上の社会的影響を期待しています。

■LGBTフレンドリーな企業を目指して ~KDDIの取り組み~
KDDI 人事本部 人事企画部長 横尾 大輔 氏

KDDIは、幾度かの合併を経験してきましたが、そのプロセスで「ダイバーシティが基本」という経営理念のもと、女性の活躍推進からダイバーシティ推進へとシフトしてきた歴史があります。トランスジェンダー社員からの社内相談がきっかけとなり、LGBTQに関しては相談~配慮~啓蒙の流れで、様々な取り組みを実施してきました。2015年にはトランスジェンダー社員に対してもAUの「家族割」を適用し、服装規定の撤廃や、アライ(支援者)コミュニティの立ち上げなど、他社に先駆けた取り組みを実施。2017年には「同性パートナーシップ」、2020年には「ファミリーシップ申請」も導入し、同性パートナーやその子供たちを配偶者家族として認める制度としました。KDDIが目指すのは「一部のマイノリティのもの」としての“属性”のダイバーシティを超えて、個と組織が「働く全てのもの」の多様性や価値観を受容し、立場や年齢を超えた対話を通じ、シナジーを生み出すような取り組みです。そして、それは他企業や全国の自治体への拡がりを期待できるものとなっています。

■丸井グループのダイバーシティ&インクルージョン ~LGBTQの取り組み~
丸井グループ サステナビリティ部 サステナビリティ担当 清水 衣梨奈 氏

LGBTQへの取り組みは、丸井グループが掲げるお客様との「共創」が基本となっており、その代表的な商品が「ラクチンきれいパンプス」です。お客様と一緒に作ったこの商品には、今まで「おしゃれをしたい、履きたいけれどサイズがない」と蔑ろにされていたトランスジェンダーの方からも、多く喜びの声が寄せられています。
また、グループ全体に共通する「手上げの文化」は、社員一人ひとりの自主性を促し、自律的な組織をつくることに繋がっています。LGBTQに関する取り組みについても、グループを横断し「手上げ」した人材から抜擢されたメンバーがD&Iプロジェクトメンバーとして活躍し、推進しています。そのメンバーによる「インクルージョンフェス2021」は、全国の店舗を巻き込む大きなイベントに発展しています。

こうした社内外の取り組みが相乗効果となって、お客様のD&Iの実現が、社員のD&Iの深い理解へと繋がってきました。そして、「全ての人が幸せを感じられるインクルーシブで豊かな社会の実現を、みんなで共創する」という想いが、着実に拡がってきたことを実感しています。

■多様な家族形態が認められる社会をめざして ~民間企業の力で社会を変える! Famieeプロジェクトの取り組み〜
一般社団法人 Famiee 代表理事 内山 幸樹 氏

「多彩な家族形態が当たり前に認められる社会へ」をミッションに運営しているFamieeは、現在の法律では親子・夫婦と認められないカップルを支援の対象としています。今日、従来の概念を超えた新しい家族の形態が生まれていますが、そこには家族関係であることが認められず、家族であれば享受できる権利やサービスが受けられない人がいることが現実です。そのような課題を解決すべく、行政では2011年1月時点で全国74の自治体にパートナーシップ制度が導入されていますが、そのパートナーシップ証明書発行については、以下の課題が色濃く存在します。
 ・パートナーシップ証明書を発行する市区町村の在住者でなければ、取得できない
 ・転居すると、発行された証明書は無効となる
 ・パートナー同士2名が揃って役所に出向く必要があり、当事者の意志に関わらず関係性がオープンになる恐れがある
 ・公証役場の公正証書を取得する必要があり、費用がかかる
こうした課題を抱え「道半ば」である行政の取り組みに対し、それならば民間団体の力で、市区町村の枠組みを超えた、パートナー2人の家族関係を認める仕組みが構築できないか?という「発想の転換」から、民間によるパートナーシップ証明書発行を実現するに至りました。

最新のブロックチェーン技術を駆使し、多くの民間企業の方との議論を繰り返し、2021年2月27日にローンチするに至った民間団体による初の証明書ですが、現在は約40社にて福利厚生の一環として導入して頂いております。今後より多くの企業で、自社のパートナーシップに関する人事諸規程の中で、同性パートナー関係を証明する提出書類の一つとして、Famieeが発行するパートナーシップ証明書を受け入れて頂きたいと考えています。

多くの企業でこの証明書が認知され使えるようになることが、多様な家族形態が当たり前のように認められる社会の実現に繋がることを確信しています。

◎研究会を終えて

  • 研究会の内容は参考になりましたか
    (参加者アンケート結果から)

    グラフ
  • 参加者の意見・感想は・・・

    今回の一連の講義から、企業が法律を動かす元になっていることを初めて知った。当社でもSDGsをこれから推進していく上で、こうした動きを支持することは重要だと感じたし、これからの業務にも紐づけていきたい。 LGBTに関する他社の具体的な取り組みや制度を知ることができ、大変勉強になった。当社ではLGBTについての施策や取り組みが進んでおらず理解浸透も浅いのが、残念ながら現状である。まずは「LGBTとは?」という基本的な部分を学びたく、今後も継続してこのテーマを取り上げて頂きたい。また今回ご教示頂いた内容は、今後の当社の施策検討において是非参考にしたい やはり単発的な取り組みではなく、継続的な取り組みで、しっかりと広く周知・理解させていく事が重要なのだという事がわかったと同時に、登壇者の皆様が同じ方向を向きながら、それぞれの立場で取り組まれていることが非常に参考になった。自分でもどのような事が出来るのか考えるきっかけとなった 数年ぶりに人事部門に戻り、改めてLGBTの現状と進化度合いを聴くことが出来た。また松中様の活躍ぶりに、大いに刺激を受けた。「アクティイブ・インパクト」という素敵なキーワードを頂いたので、今後の取り組みの核にしたい 当社はLGBTに関して本当に全く手付かず状態だと再認識するとともに、今後の当社の大きな課題だと感じた 私自身、当社のLGBTを含めたダイバーシティ推進担当となって日が浅いため、企業における具体的な取り組み事例など、大変参考になった 次回のwork with Prideに応募する予定であり、具体的に今年の変更点を聞くことができ、大変参考になった。また、民間でパートナーシップ証明書を発行する話は初めてお聞きしたが、企業が行政よりも率先して活動していることを初めて認識でき、大変興味深かった Famieeの取り組みは、活用の可能性を感じた Famieeの技術力の高さに感銘した 引き続きLGBTに関する他社事例を知りたいので、本日のようなテーマで再度開催して頂けるとありがたい。 LGBTをはじめとしたD&Iを推進した結果、具体的にどのようなカタチで、企業活動の+α(成果)へと繋がってきたかの事例があれば、今後是非お伺いしたい
  • 登壇者の感想は・・・

    グッド・エイジング・エールズ 松中 権 氏

    「誰もが働きやすい職場をつくるためには、会社の制度や風土を変えるだけでなく、社会全体を大きく変えていくことが必要です。キーワードは“コレクティブ・インパクト”です。是非セクターを超えて、それぞれの強みを持ち寄り、意義のある取り組みをご一緒しましょう!」

    KDDI 横尾 大輔 氏

    「今回登壇させて頂き、多くの方がLGBTQ+の取り組みに関心を寄せ、世の中が変わろうとしていることを肌で実感しました。弊社の取り組みも、まだまだ試行錯誤の段階です。事例が少ない課題だけに、企業や団体の垣根を超え、施策や好事例をシェアすることで、社会に対する多様性を推進する一助になれたらと感じています」

    丸井グループ 清水 衣梨奈 氏

    「皆様のお話を伺い、社会全体で取り組む重要性を改めて感じました。企業だからこそできることも念頭に置きながら、社外および社内に向けた取り組みや理解浸透を進め、すべての人がしあわせを感じられる、インクルーシブで豊かな社会の実現に向けて邁進していきたいと思います。この度は、貴重な機会をありがとうございました」

    Famiee 内山 幸樹 氏

    「自社内のみならず、世の中の認識を変えていくためにも、社員向けの福利厚生手続において、行政の証明書に限らず、住まいに限定されないfamieeのパートナーシップ証明書を、是非受け入れて頂きますよう、お願い致します。以下より、賛同&受け入れ表明が可能です。
    ⇒ https://www.famiee.com/top/