ホームセミナーセミナーレポート公開シンポジウム 2019年11月11日開催

セミナーレポート

公開シンポジウム

生涯現役時代のシニア活躍

神戸松蔭女子学院大学 楠木 新 氏
パソナマスターズ 中田 光佐子 氏
ソニー 大塚 康氏
SCSK 酒井 大介 氏
大阪ガス 江本 雅朗 氏

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本格的な取り組みが始まったばかりのシニア人材活用は、高齢化が加速する今後のあらゆる企業にとって、極めて重要な人事課題であり、早急の対応が求められています。

本シンポウムでは、オピニオンリーダーの講演をはじめ、先進企業3社の紹介事例、トークセッション、グループディスカッション等、多彩なプログラムにより、シニア活用のための方策を考えました。

神戸松蔭女子学院大学の楠木新教授は、40歳台半ば以降、働く意味に悩む「こころの定年」が訪れるが、それを乗り越えることで、定年後も活き活きと活躍できると提唱。そのためには「定年前」の50代から主体性をもって準備をする必要があるとし、その具体的な方策を示しました。

「自分のキャリアは自分で築く」という風土がある、ソニーの大塚康EC人事部統括部長は、「キャリア・カンバス・プログラム」という、シニア社員のキャリア自律を促す仕組みを紹介。学び直しのきっかけと行動の後押しを目的とした「Re-Creationファンド」(在籍期間中に学び直しの学習費用を支援する仕組み)の運用等の斬新な取り組みに、参加者の関心が集まりました。

SCSKの酒井大介人事企画部長は、社会背景の変化に伴い、シニア人材を主力人材として積極活用する必要性を語りました。定年退職後に新たに正社員として再雇用する「シニア正社員制度」を導入し、明確な期待、役割と貢献度に基づき、グレードや年収をフレキシブルに決定できる効果を解説しました。

「電気・ガスの自由化」というエネルギー業界の大変革期、組織の変革と社員の意識の変革が急務であると熱く語る、大阪ガスの江本雅朗キャリアデザインセンター所長は、キャリアガイダンス、進路調査表の作成、キャリア開発面談の実施という実例から「いかに主体的にキャリアをデザインするか」を関西人らしい笑いを交えたトークで、具体的に説明しました。

パソナマスターズの中田光佐子代表取締役社長は、パソナグループのシニア活躍支援の様々な支援や取り組みを紹介し、パソナが本年度より導入した「エルダーシャイン制度」の概要を説明。その取り組み実績から、シニアマネジメントのコア・コンピタンスを分析し、「管理職向けシニア活躍支援マネジメント研修」等、シニア人材を受け入れるために重要なポイントを、具体的な事例と共に伝えました。

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  • 参加者の意見・感想は・・・

    各社の取り組みや問題意識がほぼ共通していることを改めて認識できた。また、個人の事情に応じた社員それぞれのキャリアプランに対し、幅広い選択肢を用意する方が良いという意見には、全く同感だった シニアの活躍には、個々人への対応が重要とのコメントには全く同感。当社ではキャリアコンサルタントの育成を始めているが、多くの会社が同様に注力していると聞き、たいへん力強く感じた 事例紹介の3社のみならず、グループ討議で同テーブルだった5社の話も伺うことができ、たいへん有意義だった。シニア人材が活躍するためには、いろいろな施策を組み合わせて取り組むことが大切だと感じた 3社の取り組み事例では各社の具体的な施策を伺え、とても参考になった。加えてシニア活用を考える上で、雇用延長した社員にヒヤリングし、生の声や本音を伺うことの必要性を感じた カリキュラムが豊富で、やや詰め込みすぎかと感じたが、反面、多くの事例を伺うことができ、有意義だった。これだけ多くの課題が山積するシニア人材の活躍について、私自身とても多くの気づきを得ることが出来た とても有意義なシンポジウムで、グループ討議も盛り上がり、有用なご意見をたくさん頂くことが出来た 各社の取り組み事例紹介を含め、3社の代表者には普段なかなか聞けない本音トークをして頂き、とてもありがたいシンポジウムだった
  • 登壇者の感想は・・・

    神戸松蔭女子学院大学 楠木 新 氏

    「3社から発表された具体的な取り組みを聞きながら、シニア社員が主体性と自主性と当事者意識をさらに持てるよう、後押しすることが大切だと実感しました。参加された企業の社員の皆様のことを想像すると、会社組織にとっても、こうした施策が必ずプラスになるでしょう。そう信じて、一歩一歩踏み出す会社が、これから発展すると考えています」

    パソナマスターズ 中田 光佐子 氏

    「皆様のモデレータ役を務めながら、個人が真の生涯現役社会を実現するには『人との関わり』と『自己成長を感じる機会』を持つことが重要。企業が多様な選択肢を準備する事で、個人の早期の認知と意識醸成を促す事が出来ると、改めて学びました。当社も様々なご支援ができるよう、しっかり準備してまいります」

    ソニー 大塚 康 氏

    「シニア人材の活用は、各社毎の取り組みに加え、企業間で連携していくことも重要であると考えています。難しいテーマではありますが、何らかの形でチャレンジしていければと思います。今回、他社様の先進的な取り組みや、質疑応答等を通じた各社の課題意識にも触れることが出来、たいへん有意義な時間となりました。ありがとうございました」

    SCSK 酒井 大介 氏

    「様々な切り口からの登壇者のお話に刺激を頂き、大変有意義なセッションでした。社内でのシニア人材の活躍ぶりは、現役世代のモチベーションにも影響しますので、両者の相乗効果を期待し、今後も多様な価値観と自己成長に応えられるような人事施策を模索していきたいと改めて思いました。貴重なお時間を共有させて頂き、ありがとうございました」

    大阪ガス 江本 雅朗 氏

    「生涯現役時代のシニア活躍」。会場の皆様が熱心に聴講されている様子から、このテーマが、現在の日本企業における最重要課題のひとつであることを痛感しました。人事の世界は非競争(採用は除く)なので、他社の好事例をそのまま取り入れても大丈夫です。そういう意味でも、時宜を得た非常に有意義なシンポジウムであったと思います