ホームセミナーセミナーレポートダイバーシティ研究会 2021年4月27日開催

セミナーレポート

ダイバーシティ研究会

ダイバーシティ&インクルージョンの浸透・定着に不可欠な3つの視点
①アンコンシャスバイアス ②心理的安全性 ③インクルーシブ・リーダーシップ

一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所 代表理事 守屋 智敬 氏
KPMGコンサルティング株式会社 ディレクター 青島 未佳 氏
立命館アジア太平洋大学 国際経営学部 准教授 篠原 欣貴 氏

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今回の研究会は、皆様に依然として関心の高いテーマである「アンコンシャスバイアス」「心理的安全性」「インクルーシブ・リーダーシップ」という3テーマの専門家にご登壇頂き、具体的なアクションの進め方を考える機会としました。
前半はそれぞれのテーマに関する各講師からのレクチャー、後半は同じ課題意識をもった参加者同士で引き続き、テーマ別分科会を開催、活発なグルーブディスカッションを行いました。

以下は、前半の講師3名の講義の要旨です。

■「アンコンシャスバイアスを知る ~ひとり、ひとりがイキイキと活躍するために~」

アンコンシャスバイアス研究所 代表理事 守屋 智敬 氏

アンコンシャスバイアスとは「無意識の偏ったモノの見方」のことであり、「無意識の思い込み」や「無意識バイアス」とも表現される。アンコンシャスバイアスは日常に溢れている誰にでもある「モノの見方」であり、人は無意識のうちに「こうあるべきだ」と決めつけてしまうきっかけとなり、その良し悪しは「心のあと味」として現れてしまう。それがもたらす影響は多岐に渡り、「D&Iが推進されない」「ハラスメントが起こる」「広告や商品名の炎上」「新しいアイデアが生まれない」「災害時の対応が遅れる」など、組織や個人に顕在化している。
では、私たちはアンコンシャスバイアスとどう向き合えばよいのか?それは「気づいて終わりにしない」ことであり、「これって、もしかしてアンコン?」と自らのアンコンシャスバイアスを常に言語化し、向き合い続け、最終的にはみんなの共通言語として、それを認知していくことが大切だと考える。以下が、そのためのポイントとなる。

・「わたし」を主語に、アンコンシャスバイアスと向き合い続ける
・100人が同じでも、101人目は違うかもしれない
・100回とも同じ結果でも、101回目は違うかもしれない
・同じ人でも、過去と今とでは違うかもしれない
・「ひとりひとり、その時々と向き合うこと」を大切に

■「ダイバーシティ&インクルージョンを推進する心理的安全性」

KPMGコンサルティング ディレクター 青島 未佳 氏

心理的安全性が注目される背景は何か?VUCAの時代と言われる今、多様で多彩な価値観を持つ人材の知恵やアイデアを結集し、イノベーションや成果を生み出すチームを作るために必要な要素だからだ。心理的安全性という概念を、以下のように定義したい。

『このチームで率直に自分の意見を伝えても、対人関係を悪くさせるような心配はしなくてもよい』
という「信念」が共有されている状態

職場の心理的安全性づくりは、快適な居心地のよい職場づくりということではなく、実は学習を推進できる「厳しい」職場づくりであり、「達成すべき目的がある組織に必要な概念」であり、それがないと単なるぬるま湯の組織になってしまう。
それでは、心理的安全性の高い職場を作るにはどうすればよいのか?それには「透明性」「公平性」「主体性」「尊重」という4つのキーワードで、個人の意識・行動(自身のバイアスに気付くことを含む)の変化を促し、以下に指摘するポイントを組織・チーム内で実現することである。
心理的安全性が担保されたチームは、一人の力をチームの力に変えることが出来る組織に成り得る。

◎共通言語化(お互いを知る=パーパスの共有)
◎基準づくり(望ましい行動はどこまでか?境界線の明示と、それを超えた場合の公平な態度)
◎コンテキスト/文脈の共有化(承認とフィードバック)

そして、上記の取り組みにおいて、もっとも大切なことはリーダーのリーダーシップ行動である。

■「ダイバーシティを組織力に変えるインクルーシブ・リーダーシップ」

立命館アジア太平洋大学 篠原 欣貴 氏

ダイバーシティとは「ワークユニットの中で相互関係を持つメンバー間の個人的な属性の分類」と定義する。属性には年齢やジェンダーだけではなく、個性や価値観も含む。ダイバーシティを推進する会社は増えているが、メタリサーチによると、それを促進するだけでは組織にメリットをもたらされず、それどころか、負の効果が現れるケースもあることがわかった。
インクルージョンを推進することで、ようやく全てのメンバーが「自分は組織に受け入れられている」「多様なスキル・強みが評価されている」と感じるようになり、ダイバーシティの恩恵を組織が享受出来るようになる。こうしたインクルージョンを促す人材が「インクルーシブ・リーダー」であり、多様性を組織の力に還元することができる。
以下に、インクルーシブ・リーダーシップを発揮するために必要な3つの資質を示すと、

・Openness: 上司が新しい考えや経験を受け入れてくれる。
・Availability: 頼りやすさ。上司が時間を割いて対応してくれる。
・Accessibility: アクセスのしやすさ。上司に対して部下が気負わない。

これらを兼ね備えたリーダーこそが、「従業員の創造性」や「ワーク・エンゲージメント」「ウェルビーイング」の向上に効果的な成果をもたらし、ダイバーシティを組織の力へと還元することができる。

◎研究会を終えて

  • 研究会の内容は参考になりましたか
    (参加者アンケート結果から)

    グラフ
  • 参加者の意見・感想は・・・

    D&I推進担当および研修担当をしているが、「アンコンシャスバイアス」「心理的安全性」「インクルーシブ・リーダーシップ」については社内でも関心が高まっているキーワード。それぞれ認知度が高まってきているように思うが、その実践に向けた風土作りや研修の導入も必要と考え、本日参加した。講師の方々からのインプットに加え、他社の取り組みも知ることができ、たいへん有益な時間となった 3つのテーマがどれも関連しており、興味深かった。分科会でのグループディスカッションでは、自社を含む複数の会社が、ダイバーシティ推進がなかなか進まないという悩みを共有した。明快な解答がなかったとしても、このようなリアルな悩みを共有出来たことは、とても良かった 3つの講演テーマはそれぞれ繋がっており、相乗効果を上げられると感じた。このような連鎖が理解でき、とても有難い機会だった アンコンシャスバイアス、心理的安全性、インクルーシブ・リーダーシップと、D&I推進のための重要要素を広く触れて頂いたことで、全体感を持って理解することができた。またご登壇頂いた御三方とも、たいへん分かりやすいプレゼンで感謝している アンコンシャスバイアスは、特定の対象者ではなく、誰にでも当てはまることであり、実は分かりやすい内容なので、D&I推進にはとても効果的な切り口だと思った。それでいて奥が深く、常に意識すべきことなので、これからも積極的に学び、周りの人にも話が出来るようになりたい。今回は守屋代表とも直接お話する機会があり、大変ありがたかった ご登壇頂いた講師の方々が分科会のディスカッションにも入って頂いたため、更に理解が深まった。特に心理的安全性を高める取り組みは実は幅が広く奥が深く、身近な取り組みから全社規模の取り組みまで様々あることを知り、大変勉強になった 3つのテーマいずれにも気付きがあり、大変参考になったが、特に、心理的安全性の分科会で、チーム作りにおいて負荷のかかるリーダーをひとりにしない(=サポートが必要)という青島講師のアドバイスが印象に残った 心理的安全性を高めるための施策のヒントを沢山頂けた。また、ダイバーシティの取り組みを進める上で、インクルージョン、アンコンシャスバイアス、心理的安全性の観点を再度持ち、社内の取り組みに活かしていきたい 青島講師のお話は、論文等でも拝見しており、今回直接お話を伺えたことでさらに理解が深まった。篠原先生の研究も非常に興味深く、多様性があるだけの組織からの脱皮という点からの知見を多くいただいた ダイバーシティ(多様性)に気付くだけでなく、その気付いた多様性を組織力に変換していくためのインクルーシブ・リーダーシップの発揮がカギとなるという漠然とした理解はしていたが、本日の講演と分科会でそこがかなり整理出来た インクルーシブ・リーダーシップは大変参考になったので、今後のマネジメント強化研修に取り入れていきたい 私は篠原先生がいらっしゃるAPUの卒業生です。現在、人事でまさにD&Iについて会社として取り組んでおり、篠原先生の「ダイバーシティだけではなく、インクルーシブ・リーダーシップも含めた推進が必要」という部分がとても勉強になった。今後、進めていく上で是非参考にしたい 篠原先生のインクルーシブ・リーダーシップのセミナーを受けて、今更ながらダイバーシティとインクルージョンについて理解を深める事が出来た。社内で他の人に説明する際にも、本日の篠原先生のセミナー内容が役に立つと思った 全ての講義が、とても勉強になった。中でも、当社で現在課題としているインクルーシブ・リーダーシップに関する具体策を伺えたので、当社の次の施策に繋げていきたい 他社ではダイバーシティをどのように進めているか知ることができ、有意義な時間だった。なかでもインクルーシブ・リーダーシップの講義が分かり易く、興味深い内容だった。私は部下という立場だが、上司との関係性について改めて考えさせられた 分科会でのミーティング時に、(私を含めて)今さらながら、ダイバーシティの進め方で、皆さん頭を悩ませていることが、よくわかった。今一度、企業でダイバーシティを進めるメリットや「何」から始めるのか、どう進めるのか、など、本当に進んでいる企業の事例を伺いながら、また意見交換させて頂きたい 今回初めて参加したが、講演では様々な新しい知識を得ることができ、後半の分科会では参加各社との情報共有ができ、どちらも大変参考になった 最近話題になっているテーマを、3名の専門家から話を聞くことができ、非常に勉強になった。今回は専門家の話だったが、それぞれのテーマに関して実際に取り組みを進めている企業の話などをお伺いする会があれば、また是非参加したい
  • 登壇者の感想は・・・

    アンコンシャスバイアス研究所 守屋 智敬 氏

    「私たちは誰もがみな、無意識の偏ったモノの見方を持っています。アンコンシャスバイアスを完全になくすことはできないものの、意識をしてみると、一歩踏み出せたり、一歩踏みとどまれたり、大切なものに気付いたり、世界が違って見えるかもしれません。『一人ひとりが、イキイキと活躍する組織づくりをめざす』にあたり、何かお役に立てればと思います。ご参加ありがとうございました」

    KPMGコンサルティング 青島 未佳 氏

    「今回登壇させて頂き、改めて、“心理的安全性”に多くの方が関心を持ち、試行錯誤をしながらも、取り組みを推進していることを実感しました。心理的安全性は、誰もが自分らしくいられるだけでなく、挑戦・学習できるチームを作ることがその本質です。本講義と分科会でのディスカッションが皆様の取り組みの一助となれば幸いです」

    立命館アジア太平洋大学 篠原 欣貴 氏

    「今回の講演ではインクルーシブ・リーダーシップという新しい概念について説明させて頂きました。インクルージョンを組織に定着させ、ダイバーシティの恩恵を享受するためには、リーダーのコミットメントが重要となってきます。今回のセミナーを通じ、皆様がインクルージョンを推進するリーダー像をイメージできたのなら幸いです」