ホームセミナーセミナーレポートダイバーシティ研究会 2021年6月18日開催

セミナーレポート

ダイバーシティ研究会

女性リーダー育成のステップ
~ 女性リーダーは、なぜ増えないのか ~

株式会社キャリエーラ 代表取締役 藤井 佐和子 氏

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今回のダイバーシティ研究会は、多くの企業が具体的目標として掲げている「女性リーダーの育成と女性管理職の登用」をテーマに取り上げ、ファシリテーターとして(株)キャリエーラの藤井佐和子代表をお迎えし、講義と計5回のグループ討議を通じ、参加者の皆様と一緒に「なぜ女性リーダーは増えないのか?」を考えました。以下が講演の要旨です。

女性の特性として「自分に自信がない」と、自らのことを過小評価しがちになる傾向があるが、これは日本に限ったことではない。 女性の「管理職なんて無理です!」という断りは、自分の「防御」のためであり、やる気がない訳ではなく、自信がないことからの発言が大半であることを理解する必要がある。決して管理職になりたくない訳ではないのだ。では、どうしたら良いのか?それには管理職へ登用する際のサポートを上司が一緒に考え、「何故、あなたに任せたいのか」を具体的に丁寧に説明していくことが大切と考える。

女性の管理職登用について、自社はどのステップにあるのかを把握するために「日本企業の進捗状況」の5つのstepを考えてみたい。
《step1》 性別による役割負担をなくす(男性=大黒柱/女性=サポート役 という区分からの脱却)
《step2》 女性の離職者を減らし、勤続年数を男女同数に/女性のための福利厚生の充実
《step3》 性別による役割撤廃/全員総合職 男性社員への育児休暇導入
《step4》 女性管理職の数を30%以上に/管理職としての女性の活躍を後押し
《step5》 女性管理職の数を半分に/女性役員や社外取締役の数を増やす

上記のstepを踏まえ、女性活躍推進のために、以下3点のバランスを把握してほしい。
【1】制度・仕組み 出産、介護に関するサポートは充足しているか。またその利用者は男女共に多いか。
【2】風土 誰もが働きやすい企業方針が経営戦略として、トップは勿論のこと、管理職が「本気」で考えるまでに、組織に浸透しているか。
「本気」とは、部下とコミュニケーションを丁寧に取っているか、育成は管理職の仕事だと理解しているか。女性部下にチャンスを与え、期待と信頼をしているか。
【3】女性の教育 女性本人たちが活躍し続けるためのマインドが醸成されているか。管理職をキャリアのひとつの選択肢として、捉えているか。

step5を目指す企業がやっていることは、まず何よりも「やり続ける」こと。女性が管理職にチャレンジすることへの不安を払拭するために、社内の誰とでもコンタクトを自由に取れるような雰囲気づくりや、先輩カウンセラー制度などの具体的な施策を考え、継続することが成果へと繋がる。そして「サーバント・リーダーシップ」のように、女性が好み、得意とするリーダーシップスタイルがあることをしっかりと伝え、「このやり方なら私でもできるかも?」と新たな視点を与えることも大切だ。

最後に、女性管理職を増やすための6つのポイントをお伝えしたい。
【1】候補者に上がった人に、肩身の狭い思いをさせないようにする。
【2】経営戦略であることをトップダウンで浸透させる。なぜ推進が必要なのかを繰り返し伝える。
【3】教育する。足りないスキルは座学で習得できないか検討する。
【4】どんな管理職になりたいか、何のためになりたいか、管理職になる目的を明確にする。
【5】現場の管理職たちを巻き込む。
【6】とにかくやり続ける。

◎研究会を終えて

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    女性リーダーの育成について、まさに社内での検討を始めたところだったので、このタイミングで参加でき、ありがたかった。講義はもとより、グループディスカッションの時間も多く取ってあり、他社といろんな情報共有ができ、たいへん参考になった 藤井先生のお話が非常にわかりやすかったことと、ディスカッションの切り口が適切だったために他社の皆様とのディスカッションがとても有意義で、得ることがたいへん多いセミナーだった 女性活躍推進…といっても正直、何をどうしたら良いのか分からない部分も多いので、今回のようにグループワークをやりながら、また先生のアドバイスを聴きながら、いろいろと考えることができるセミナーはとても貴重だと思う。 「やり続ける」「やり続けないといけない」ということは理解しているつもりだが、さて何をどうしたら良いか、行き詰っている 女性リーダー育成のステップと、現在の当社のステージを客観的に確認することができた。ディスカッションが多く、グループの皆様とも様々な情報を共有することができ、業界の違いによるD&I推進の課題等も学ぶことができた ダイバーシティ推進担当としては、女性管理職比率が目標達成できず悩んでいるが、本日の講義と他社のお話を伺い、風土改革や意識改革を進めたいと思った 「昇進だけが女性活躍ではないのではないか」という、これまでもやもやとしてなかなか答えが出てこなかったことについて、はっきり聞けることができ、良かった。そして参加者の皆様とざっくばらんに会話ができ、貴重な情報をたくさん得ることができた 様々な企業の方が参加されていて、各社の取り組み状況や悩みの共有などの中に、共感できる部分や参考になる部分も多く、非常に勉強になった。抱える課題はたくさんあるが、頑張って組織を変えていきたい 開始前は、3時間は少し長いかな・・と思っていたが、いろんな企業の方とお話ができ、時間が過ぎるのもあっという間だったし、藤井先生の進め方も分かりやすかった。私達のグループは4~5人だったので、1回ごとのディスカッションの時間がもう少しあったらと感じたが、3人位のグループだと、ちょうど良かったように思う 女性活躍目標の期限が2020年であったため、それを過ぎた現在(2021年)は、やや女性活躍のアクションが停滞していると感じている。今後も時代背景に沿った目標設定のアイデア、示唆、手法などをご紹介頂ければありがたい
  • 登壇者の感想は・・・

    株式会社キャリエーラ 藤井 佐和子 氏

    株式会社キャリエーラ 藤井 佐和子 氏

    「女性の管理職比率がなかなか増えない背景を、データと実際の事例から紹介しましたが、企業によってステージと課題は様々でした。正解がひとつではない中、計5回実施したディスカッションでは、皆様が真剣に情報交換をしてくださいました。新しい取り組みにチャレンジする担当者は、反対意見もあり、孤独感を感じるものです。今回の会合は、同じ気持ちを持つ方同士が、忌憚なく本音で情報交換できる、とても良い機会だったのではないでしょうか」