ホームセミナーセミナーレポート人事実践セミナー 2021年11月18日

セミナーレポート

人事実践セミナー

福利厚生の最新事情と今日的な役割

青山学院大学 経営学部教授 山本 寛 氏
株式会社ベネフィット・ワン 常務執行役員 営業本部長 瀧田 好久

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今回の人事実践セミナーでは、初めて「福利厚生」をテーマに取り上げました。キャリアやライフステージの多様化、新型コロナウイルス感染症の拡大などを受けて、働きがい・働きやすさに対する考え方が大きく変化しつつあります。エンゲージメントやリテンションの観点も踏まえながら、これからの福利厚生をどのように捉えるべきかについて、2部構成のセミナーにて掘り下げました。

《PART1》 エンゲージメントとリテンションの視点から考える、これからの福利厚生のあり方
まず前半は、青山学院大学の山本寛教授にご登壇頂きました。
近年、働きがいやエンゲージメントが重視される背景には、「働き方改革」が目指す労働生産性向上と、「SDGs(持続可能な開発目標)への注目」という、2つの理由があります。両者を実現するためには、働きやすさだけでなく、働きがいを加えた2軸で捉えることが重要です。
働きがいは、ワーク・モチベーションやエンゲージメントが高い状態と言い換えることができます。エンゲージメントとは、自発的な意欲だけでなく、会社の成長と自身の成長を結び付け、会社の戦略実現に向けて一人ひとりが力を発揮する状態、つまり好業績につながる企業と個人の強い結び付きです。各種の調査でエンゲージメントの指標化が進み、定量的な把握を行いながら、エンゲージメント向上施策を打ち出す企業も増えています。
一方、エンゲージメントの低下は、従業員の転職・退職に影響するというデータもあります。日本では少子高齢化に伴って1995年以降、生産年齢人口が減少の一途をたどり、2060年には1995年の半分になると予測されています。加えてニューノーマル時代の人事課題としても、人材定着の重要性が増しています。つまり採用・定着が困難な時代にあっては、在籍している従業員に長く働いてもらうためのリテンション施策が重要となるのです。
こうした背景から、従来は働きやすさの観点で考えられてきた福利厚生を、エンゲージメント向上やリテンション・マネジメントの視点から考え直すことが必要です。
最後に企業事例として、労働時間管理と時短勤務・手当等の福利厚生を組み合わせてリテンションにつなげた例や、従業員満足度調査に基づいた課題発見と徹底した話し合いにより、ボトムアップで有給休暇取得率向上の課題を解決した例などが紹介され、福利厚生を社内コミュニケーション活性化と効果的に結び付けることの重要性が説かれました。

《PART2》 企業と従業員を取り巻く環境変化と福利厚生の新たな潮流
後半は、ベネフィット・ワンの瀧田好久が、従業員の属性や働き方が多様化する中で、福利厚生体系をどう見直すかについて、多数の企業・サービス事例を交え紹介しました。
少子化の進展で若手を中心に人材確保が困難になるとともに、ダイバーシティ経営志向が進む中で、福利厚生体系を見直そうという企業が増えています。SDGsやESGの観点からも、多様化に対応した働きがいのある、人間らしい仕事環境の整備を、資金力のある大企業だけでなく、ほぼ全ての企業で対応する必要が出てきました。福利厚生の充実に熱心に取り組む企業・団体・自治体を表彰する制度「ハタラクエール」の受賞企業を見ても、差別やハラスメントの撤廃、柔軟な働き方の推進、モチベーションの向上などを目的に、さまざまな支援や福利厚生施策の導入が進んでいます。
また、コロナ禍を受けて、テレワークやハイブリッドワーク(=出社と在宅勤務を組み合わせた働き方)の導入・継続が進みました。家族と過ごす時間が増えたり、育児・介護が大切だと改めて気付くきっかけになったりと、ポジティブな変化もあった一方、テレワーク実施後にモチベーションが低下した、チームでの仕事が減ったと感じる人が増える傾向も表れています。社内コミュニケーションが意図的なミーティングやチャット・メール等のテキスト中心になり、多種多様な情報交換機会がなくなったことにより、人間関係の希薄化が起こっています。この状況が進むと、生産性や品質の低下が生じ、リコールやクレームにつながって、最終的に退職を決意する人も出てきます。
こうした課題を解決するためにも、「多様性」「コミュニケーション」「個人最適」を実現する福利厚生が鍵となります。この実現に向けて、人手をかけて個別対応を行なうには限界があるため、福利厚生のDX化も求められています。
ベネフィット・ワンでは、多様な福利厚生サービスをワンストップで提供するソリューションを展開。加えて、個人のデータを蓄積し、可視化・分析してパーソナライズすることで、最適な福利厚生をレコメンドすることも可能です。当社は福利厚生を通じて、社員個人の働きがいと成長、組織の活性化を促進する支援を、今後も充実させていきます。

◎セミナーを終えて

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    グラフ
  • 参加者の意見・感想は・・・

    給与計算担当から、最近、安全衛生・福利厚生担当に変わったので、現在、これからの福利厚生に求められるものが何となく掴めた。内容もとてもわかりやすく、ためになった 半年後、1年後に今回と同テーマの企画があれば、それまでの変化について、またお伺いしたい 今後の福利厚生について、社内で内製化できる制度も含め、より具体的な打ち手を、また取り上げて頂けると嬉しい 本日紹介して頂いた「ハタラクエール」に挑戦したいと思う
  • 登壇者の感想は・・・

    青山学院大学 山本 寛氏

    青山学院大学 山本 寛 氏

    「セミナーでは、福利厚生等を通し、働き方改革やSDGsに取り組まれる際、社員の方々の働きがいやエンゲージメント、それらを通したリテンション(定着)を視野に入れる必要性をお話しました。その際、様々な形で社内のコミュニケーションに配慮する必要にも触れました。参加して頂いた各社の施策に、ささやかでもヒントになれば幸いです」
    株式会社ベネフィット・ワン  瀧田 好久

    株式会社ベネフィット・ワン 瀧田 好久

    「セミナーにご参加頂き、誠にありがとうございました。福利厚生は外部環境の変化とともに、日々進化しています。「多様化」「コミュニケーション再生」「個人最適化」をキーワードとした次世代型福利厚生制度を、皆様とご一緒に実現していけたらと思っていますので、どうぞお気軽にご相談ください」