ホームセミナーセミナーレポートオンライン公開シンポジウム 2021年11月26日開催

セミナーレポート

オンライン公開シンポジウム

自律型人材と自律型組織の実現に向けて

株式会社ヒューマンバリュー 代表取締役社長 兼清 俊光 氏
株式会社デジタルホールディングス グループ執行役員CHRO 石綿 純 氏
太陽ホールディングス株式会社 人事部長 飯塚 比奈子 氏
西日本鉄道株式会社 人事部 人材開発課長 石谷 賢信 氏
議論メシ 主宰 黒田 悠介 氏

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2021年に継続して展開してきた「“自律型人材”が求められる時代の人材開発/人材育成」のあり方を多面的に考えるプログラムの最終回として、公開シンポジウムを開催しました。自律型人材と自律型組織を考察する(株)ヒューマンバリュー代表の兼清氏に基調講演をお願いするとともに、後半は具体的な取り組みを進めている3社の人事部門の方々をお招きしたトークセッションを実施しました。

《PART1》 基調講演
『いまこそ、自律した社員・チーム・組織へと、マネジメントのOSをアップデートする!』

自律型人材の育成には、『成功の循環:A Core Theory of Success』の要素である「関係の質」「思考の質」「行動の質」「結果の質」を向上・循環させていくことが必要です。向上・循環の際には「自分たちで、自律的に」行うこと、他者からの指示によらないように注意します。産業革命以降、社会は「分業」により速く低コストで均質な大量生産を可能とし、さらに「目標による管理」によってその体制を強化しました。その結果、企業を中心に組織のあり方やマネジャーの役割、制度・仕組みなどを考える「カンパニーセンタード」の考え方が、マネジメントの基本哲学となりました。しかし、不安定、不確実、複雑、曖昧な世界(VUCA World)である現代社会は、テクノロジーの進化やDXにより、さらに予測不能なDisruptive Worldに至ろうとしています。Disruptive Worldでは、カンパニーセンタードの哲学で求められた“積極的受身”の社員は対応できず、より上のレベルである「自律・共創」型の社員が求められます。

「自律・共創」型社員は、変化を起こすために自分で目標を設定し、振り返り、責任をもって行動する能力を備えています。そのような社員が働く組織は、人が中心になる「ピープルセンタード」の哲学に基づきます。ピープルセンタードの組織では、企業は社員の成長を支援し、機会を提供する役割を担うことになり、社員の働き方もまた変化します。ワークライフ・インテグレーションにより、仕事と私生活の境があいまいになり、互いに相乗効果をもたらすようになると、自分の能力を伸ばすことに重点を置くGrowth Mindsetへの変化が求められるとともに、「関係の質」が高い組織・チームで働くことも必要となります。また働くモチベーションにも、生存のため、罰を与えられないためといった「外発的動機」ではなく、何かを成し遂げたい、社会の役に立ちたいなど「内発的動機」がメインとなりつつある変化が表れてきます。

自律した社員を育成できる組織への変容を果たすためには、さまざまな施策の「コヒーレンス(coherence:筋が通っていること、首尾一貫性)」を高めることが重要です。働き方改革、パフォーマンス・マネジメント、キャリア開発、ビジネス変革、ダイバーシティ&インクルージョンといった人と組織に関わるパラダイムシフトは全てつながっているため、これらのコヒーレンスを高めることで、より有効な価値創出に向けたアプローチが可能となります。

組織の変化につれ、リーダーシップのスタイルも変わってきました。従来の指示統制型リーダーシップ、カリスマ型リーダーシップではなく、部下をサポートするサーバント・リーダーシップ、ハンブル・リーダーシップが主流となり始めています。状況に対処する際に「どうするのか=Do」ではなく、「自分はどうあるか=Be」を常に考えることが大切であると、最新のリーダーシップ研究でも示されています。

《PART2》 トークセッション
後半のトークセッションでは、議論メシ主宰の黒田氏をモデレータに、人事部門で働く3名と兼清氏からお話を伺いました。ここではトークセッションの一部をダイジェストしてお伝えします。
最初の質問『自律型組織・自律型人材を実現するために現在進めている取り組みにおいて、重視しているキーワードは何か?』に対し、太陽ホールディングスの飯塚氏は「自律と楽しみの一貫性」を挙げました。もともと経営理念に「楽しい社会」というワードが入っている同社では、2021年10月に策定した「太陽バリュー」の第1項目に「楽しむ」を掲げています。また、デジタルホールディングスの石綿氏は「遠心力と求心力」を挙げました。コロナ禍で取り組みを進める中で、リモートワークによってさらに遠心力と求心力が明確になったといいます。そして西日本鉄道の石谷氏は、メンバーが自律的に目標を立てて実践していく際の支援に力を入れていることから、「自律型人材と育成支援」を挙げました。

次に『各社の文化やパーパスやバリューを定義・浸透させるためのポイントは?』と尋ねたところ、飯塚氏は「浸透させる」という“使役形”の表現を使わず、「一緒に体現する」など、社員と共に取り組む姿勢を強調していると述べました。石谷氏は、長い歴史を持つ企業で規律性を重んじる社風が強い一方、柔軟性に欠ける弱点があるため、前の時代を引きずらないための「組織OSのアップデート」を挙げました。

また、『取り組みを進める中で失敗したことは?』という質問に対し、石綿氏は「Beの言語化」と回答。社内で「Beを持て!」と言った際に「持てと言っている時点で、それはBeではなくDoである」と社員から指摘され、反省したことがあったそうです。飯塚氏はコロナ禍など社外の変化が激しい時期に社内の変化まで重なってしまい、一時混乱が大きくなったことを挙げました。石谷氏は、管理職が互いを「さん付け」で呼び合うプログラムを実践したところ、社内の抵抗が予想以上に強く、1年を経てもなかなか浸透していない状況を語りました。

『“行動の質”の変化が起きていると感じた実例』について伺うと、石谷氏からは「他社と共に未来を考えるイベントを開催した際、若手メンバーから非常に多くのアイデアが提案されたこと」、石綿氏からは「価値創造を表彰するイベントを行ったところ、多くの応募が集まったこと」が挙がりました。飯塚氏は「複数の拠点をつなぐオンラインミーティングの際に、積極的に意見が出てきたこと」と回答。3年前に同様のミーティングを実施した時は、ほとんど意見が出てこなかったことと比較し、行動の質の変化を実感したとのことでした。

◎シンポジウムを終えて

  • シンポジウムの内容は参考になりましたか
    (参加者アンケート結果から)

    グラフ
  • 参加者の意見・感想は・・・

    今日は大変貴重な話をたくさん聞けた。実践にどう結び付けていくのかが課題であるが、それも賛同してくれる人を巻き込みながら、チャレンジを楽しみつつ続けていきたい 大変ためになった。兼清氏の講演は腑に落ちるものだったので、関係者でぜひ共有したい。また、パネリストの各社の取り組みも参考になった。ひとまず“使役動詞”を使うことをやめようと思った 人と組織のマネジメントの総括にふさわしい内容だった。特に兼清氏の講演は、ここまでお考えなのかと、その幅と深さに感銘した。「働くことは生きること」に、私も同感。「どう働くか」という問いは、「どう生きるか」という問いと同じだと思う とても勉強になった。私の断片的な知識が紐づいてまとまり、スッキリした気分になった 働く意味と使命感、そしてグロースマインドセットが仕事の進め方に及ぼす影響の大きさにびっくりした。また内発的な動機が溢れた組織を目指して関係の質を上げることの重要性を改めて認識した。モチベーションが上がる大変良い機会を頂き、感謝したい 働くことは生きること。コロナで出社が限られ、働く目標を見失っているスタッフが多いので、今一度コミュニケーションを図り、自発的に動ける環境づくりを目指したい 非常に勉強になるシンポジウムで、今まで自社で取り組んでいた内容を振り返りながら、コロナで止まってしまっていた変革を再度進めていかなくてはならないと感じた。パネリストの各社の取り組みや経験も、非常に興味が持てた 自律型人材と自律型組織に実際に取り組んでいる三社の皆様から、具体的なお話を聞けて大変参考になった。お仕着せではなく、且つ継続することが、自律型人材が増えていくためには重要だと肝に銘じた 会社の組織や風土を創っていく方々から、現在のお悩みやリアルな状況を伺うことができ、大変勉強になった。また、「させる」ではなく「一緒に体現する」という言葉選びにもしっくりした。自身の組織でも粘り強く実践していきたい 大変勉強になった。短時間の中で本質的で核心をとらえた講義と討議に感動した。ピーブルセンタードの取り組みは継続し続けること。人と人の対話によって、枠組みは変容し続けることを再認識できた 丁度、当社の課題だと思っていたことについて、それがなぜ起きているのか、どうすればよいのかがわかったので、実践につなげていきたい 社内の仲間も、人事部門以外からも参加していたが、改めて自社の変革推進の参考になる気付きがたくさんあった。働き方は生き方。“やらされること”は自分の人生をむなしくしている。最後のメッセージも印象的だった ピープルセンタードな組織に変えていくためには、いろんな超えるべきラインがあると思う。働くことは学ぶこと、働くことは生きること、働き方は生き方に通じる、自分を失わずに生きるというメッセージがとても印象に残った 自律型組織の実現に至るまでのステップを具体的にお示し頂き、弊社の状況がどのステップであるのか、そして今後に向けた取り組みの方向性のヒントを貰った。今回のお話は、人事部門メンバーや経営層とも共有し、経営課題として取り組むべきことだと思った 一体感、協働、未来は創るもの、doとbeなどのキーワードが心に残った。トップダウンではない環境作りが出来たら良いと思うが、なかなか難しそう 「自律型人材と自律型組織を目指す」ということが、標語に終わらないために何が必要か、考えるヒントをたくさん頂いた。社員にとって、自社の組織の成長を「自分ごと」として感じてもらえることが何より大切なはじめの一歩であることが再認識できた 対話を通じてのみ、人の考えは変容し得る、ということを肝に銘じて粘り強く取り組みたい いろいろな会社の皆様が、試行錯誤をしながら、あきらめずに行動されていることを感じ、改めて勇気が湧いた "Walk the Talk"、まずボランタリーに自分自身が背中を見せ体現しながら、周りにも働きかけていくことから、自社の変革も始まることを再認識した 自分は自律型の働きをしていると思っていたが、今日のセミナーを通じて自身の改善点を多く感じた 組織とメンバーとのあり方、距離感、関係性が変容しつつあることを、改めて感じた。一方で効率性が重視される中で、どのようにある程度の時間的余裕をみながら、自ら成長することを促す支援できるのか、考えさせられた 兼清氏の話を聞けて、改めてグロースマインドの大切さなど思い出すことが出来た。コロナにより、社会も環境も大きく変わった中で、今後の自分自身を見つめなおす良い機会になった 弊社でも自律型人材の取り組みを進めているが、人と組織の両面からのアプローチをどうバランスをとるかに苦慮している。引き続き、こうしたテーマでパネルディスカッションを企画してほしい
  • 登壇者の感想は・・・

    株式会社ヒューマンバリュー 兼清 俊光 氏

    株式会社ヒューマンバリュー 兼清 俊光 氏

    「多くの方々に参加して頂きました。講演のはじめにチェックインをチャットで行いましたが、多くの方々がこの場に期待されている様子がわかり、あらためて「自律型人材・自律型組織」への変容の必要性が日本においても高まっていると実感しました。また講演の終わりのチャットによるチェックアウトでも、何かしらのヒントを得られたという言葉をたくさん頂き、皆で実践知を共有し合うことの大切さを実感しました。「働くことは生きること」「働き方は生き方」。自分らしく社会と対峙する人が一人でも多く増えたらと願っています」
    株式会社デジタルホールディングス 石綿 純 氏

    株式会社デジタルホールディングス 石綿 純 氏

    「働くことは生きること。働き方は、生き方そのもの。まさに、自律型人材や組織には、個人と会社の関係性の中で、多様な働き方や生き方の選択肢があります。「個の可能性」と「内発的動機」から、情熱あふれる事業が作られるのだと感じました。この動きを止めずに続けることが、大切だと思います」
    太陽ホールディングス株式会社 飯塚 比奈子 氏

    太陽ホールディングス株式会社 飯塚 比奈子 氏

    「なぜここにいるのか、どうありたいのか、DoよりBeが大事、そんなことを改めて強く感じました。 自ら意思決定し、多くの可能性を得られる時代だと思います。自律的に生きる・働くことで、個の可能性を最大化し、会社や社会とつながり、未来をつくり続ける。そのためにできることを考え、止まることなく進んでいきたいと思います」
    西日本鉄道株式会社 石谷 賢信 氏

    西日本鉄道株式会社 石谷 賢信 氏

    「当社のPOT3.0の活動は、まだまだ始めたばかりで、取り組みの効果が見えてくるまで、もう少し時間がかかると思いますが、「目指す企業文化」創りに向け、粘り強く取り組んでいきたいと思います。皆様のお話を伺いながら、活動への巻き込み方、そして丁寧に導いていくことの重要性を感じました。貴重な機会をありがとうございました」
    議論メシ 黒田 悠介 氏

    議論メシ 黒田 悠介 氏

    「VUCAの時代に必要な組織運営の観点が飛び交う場になり、参加者にとっても登壇者にとっても有意義な場になったように思います。マネジメントやリーダーシップの意味そのものが再定義されるような、ダイナミックな転換を体感でき、多くの学びがありました。貴重な機会をありがとうございました」