ホームセミナーセミナーレポート人事戦略フォーラム 2020年6月19日開催

セミナーレポート

人事戦略フォーラム

自律的な働き方とキャリア形成を支援する「キャリアカウンセリング」の機能と活用方法

順天堂大学 道谷 里英 氏
ソフトバンク 岩月 優 氏
NECマネジメントパートナー 篠崎 由美子 氏

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人生100年時代と言われる今日、急速に進行する技術革新と、それに伴うビジネスモデルの変化が、組織における人材開発と個人のキャリア形成にも大きな変化を迫っています。

今回のフォーラムは、順天堂大学准教授の道谷里英氏のリードと、ソフトバンク㈱岩月優氏とNECマネジメントパートナー㈱篠崎由美子氏からの、こうした変化に対応するためのキャリア支援を実施してきた事例を紹介して頂き、企業としてのキャリア支援のあり方を考えました。

道谷氏は、キャリアコンサルティングを実施している会社は多いが、なかなか定着していないのは何故か、それは「個人の尊重」と「組織の秩序・現実」という相反する事実が存在するからだと指摘。キャリアコンサルティングの目的が、「企業内の人材育成」から「個人のキャリアの支援」に変わってきた現在、キャリア形成支援を社内に浸透させるには非常に大きなパワーが必要なのだと、人事担当者が置かれている現実を再確認しました。

次に、岩月氏から「変革の起点は人事から」をキーワードに、既存事業の人材を新規事業領域へシフトする目的で設立した「ソフトバンク版キャリアドック」についてお話を頂きました。「要員」と「スキル」と「マインド」のシフトを実現すべく、個別のキャリア相談をはじめ、著名人による講演等を実施。変化の激しいビジネス環境で、「変化をチャンスと考え、いかに前向きな行動を起こしてもらうか」こそが、ソフトバンクが実現したいキャリア支援であると強調されました。

篠崎氏からは、実施して9年目のNEC「ライフタイムキャリアサポート施策」を解説して頂きました。永年勤続制度を廃止し、会社と個人の相互依存から対等な関係へと変わり、社内外で活躍できるようなキャリアの自律を実現することを目的に実施してきた様々な施策を紹介。そうした中、様々な試行錯誤を経て、現在では多くの社員が自発的に利用する「キャリアアドバイザ」によるキャリア相談を、社内へ浸透していったプロセスのご紹介は、深い共感と学びとなりました。

最後にまた道谷氏より、組織内キャリアカウンセリングを導入する際は、組織の方針・実態に合わせた運営、キャリア構築プロセスに基づく施策展開、そしてキャリアカウンセリングへの正しい理解という3点がポイントであると、説明して頂きました。「相談することが自分の成長につながるのだ」という言葉に、キャリアカウンセリングの重要性を再認識することが出来たのではないでしょうか。


質疑応答の時間も1時間以上に亘り、後日実施した少人数でのオンライン情報交換会でも、たいへん活発な意見交換が行われました。

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    (参加者アンケート結果から)

    グラフ
  • 参加者の意見・感想は・・・

    それぞれ特徴の異なる2社の先進的な事例紹介に、学術専門家の意見や見解が加わり、プログラム全体のバランスがとても良く、たいへん満足した。アカデミックな話を、実務者の話にサンドイッチする形で組み合わたのは、効果的な演出だと思う。おかげで上手く、頭の整理が出来た 社内での経営トップへのアプローチの仕方等、たいへん参考になった 企業内キャリアカウンセリングは、“今後、企業は社員の面倒を見過ぎない”という姿勢を見せるためにも有効だと思う一方、先行して取り組んできた企業にも相当苦労があるのだなと感じた。個人がキャリアを考える時代になった事は間違いなく、当社も社員と家族がより良い人生を作れるよう、従業員支援策のひとつとして考えていきたい 道谷先生の「キャリアコンサルタントのクライアントは、従業員と経営者の両方である」そして「貢献の可視化のための関係部門等との連携が重要」というコメントに、大変納得した NEC篠原氏の定着に向けた取り組み事例がとても実践的で且つ、たいへん示唆に富んでおり、またNECでは自らキャリアコンサリティングを受けたいと希望する社員が多い事が素晴らしいと思った キャリア相談をどう浸透させていくか、活用してもらうかについて、今まさにチーム内で検討をしていたところなので、大変参考になった 当社では現在、キャリア相談室の設置を検討しているところであり、両社の取り組み方針や施策、道谷先生の導入ポイントの説明が大変参考になった これからキャリア面談、キャリアセミナーを内製化し実施する必要があり、大変参考になった 当社は、社員のキャリア形成意識に対して具体的に取り組みを進めていく具体的な段階にはまだないが、今後恐らく考えていかなければならない事なのだろうと感じていた。しかしながら、何から手をつけたら良いかの見当も付かず、きっかけを得られればとの思いで参加したが、両社の具体的な取り組み内容を知る機会となり、とても参考になった 質疑応答の時間を充分に取ってくれたので、本編と同じ位に参考になった。また、登壇者全員が質問にひとつひとつ丁寧、且つわかりやすく答えてくれたのが素晴らしいと思った
  • 登壇者の感想は・・・

    順天堂大学 道谷 里英 氏

    「本テーマへの皆様の関心の高さとともに、人事施策としての位置づけの難しさを再認識する機会となりました。全ての従業員にとってキャリアは重要な問題ですが、支援のタイミングや方法は様々です。ぜひ経営層や従業員との対話を続けながら、各社オリジナルの仕組みを作り上げていっていただきたいと思います」

    ソフトバンク 岩月 優 氏

    「オンラインでの開催ということもあり、少々不安もありましたが、皆様からの質問の多さに、キャリア自律施策の関心の高さを感じました。弊社は、事業戦略や人事課題と連携した導入にこだわり、推進してきましたが、その内容や考えが少しでもお役に立ったならば幸いです」

    NECマネジメントパートナー 篠崎 由美子 氏

    「多くの企業からのご参加と質疑応答を通じて、本テーマへの関心の高さを感じると共に、私自身の学びの機会となりました。改めて「キャリア相談」の意義を考える良い機会となりました。私達が取り組んできたことが、少しでも参考になったなら幸いです」