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セミナーレポート

トークセッション

働き方と人材活用/人材育成の最新事情
《第2回》 退職者のアルムナイネットワークを活用する

株式会社ハッカズーク 代表取締役CEO アルムナイ研究所研究員 鈴木 仁志 氏
「退職学」の研究者 佐野 創太 氏

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前週に引き続き3週連続開催する、トークセッションシリーズの第2回目として、今回はアルムナイマネジメントという分野において、個人と企業の新たな関係性を探求し、日本のHR業界のパイオニアとして活躍されている株式会社ハッカズーク代表取締役CEO鈴木仁志氏をお招きし、今なぜアルムナイが大切なのかを、今回も「退職学」の研究者である佐野創太氏によるインタビュー形式にて約1時間、様々な切り口から余すところなく語って頂きました。
以下は代表的な質問と、鈴木氏からの回答の要旨です。

Q1.そもそも「アルムナイ」とは何か?「再雇用」とはどこが違うのか?

本来は、教育機関の卒業生ネットワークを意味していたが、そこから派生し会社の退職者のネットワークである「コーポレートアルムナイ」の意味合いとして定着してきた。その関係性のひとつが「再雇用」であり、日本においては後者の文脈でも使われるようになってきた。

Q2.アルムナイ人材だからこそ出来る価値提供は、どんなことか?

今まで所属していた会社の「中のこと(社内)」と、退職後に別会社・別組織で知り得た「外のこと(社外)」その両方を知り得る貴重なハブ人材として活躍が期待できること。アルムナイ人材は、広義の「越境人材」であり、外部を巻き込み、オープンイノベーションを促進する人材としても期待される。また社内イベントに登壇し、外部から見た自社への気付きを伝えるなど、組織活性化の一躍を担うことも多い。

Q3.退職しても「また戻れる」となると、会社へのロイヤリティ(帰属意識)が低下するのでは?

全ての退職者が簡単に戻れるわけではなく、その会社にとって求められる人材になることが大前提。それには“個人の辞め方”と“会社の辞められ方”の双方が、とても重要であり、自社として今後どういう形でアルムナイと繋がっていたいのか?を考え、アルムナイ人材を組織化することが、会社と個人のより良い関係構築となる。

Q4.アルムナイ人材を受け入れる際に、社内の既存社員から見た受入のためのポイントは?

過去に「中にいた人」であるからといって、「なあなあ」にしないこと。離れていた期間に会社も個人も常に変化してきたはずだから、「元社員だから大丈夫ですよね!」と特別扱いし、中途入社社員に受講してもらう研修を省いたりすると、上手く馴染めないことになる。仕事や社内システムがどのように変わったのか、最低限のことはしっかり伝え、情報の共有化を行なうことが必要だ。
みんなの前で、あえて「我が社にまた戻ってきてくれた〇〇さんです!」と紹介するなど、あたりまえのことを省かないこと。それにより温かく受け入れられる雰囲気と土壌が出来上がる。過去の役職や関係性をそのまま引きずることなく、良い意味でのリセットが大切である。

Q5.(本日参加者のアンケート結果では)制度としてOB・OGの採用は認めていても、ほとんど実績がないという結果が出たが、なぜだろうか?

そもそも制度自体が社員に知られていないケースも多い。アルムナイ人材と会社が、お互いのタイミングが合致した際にスムーズに繋がることができ、また戻れるように、最新の状況や情報をアップデートし、それを常に伝えておく等の情報共有化の工夫が必要だと考える。

Q6.退職者が実際にアルムナイネットワークに入る理由は、どこにあるか?

退職した理由は個人によって多種多様。アルムナイネットワークに加入する理由も多岐に亙る。例えば、
・ネットワークに登録した時点で直ぐに問合せがある場合には、もともと会社との繋がりが深く、再入社の意志も強いことが多い。
・転職により、所属していた会社に恩返しをしたいという想いが強い場合には、再入社意志はどちらかというと低い。
・アルムナイ仲間の「横の繋がりがほしい」場合には、適切なタイミングで活用したいという意志が強い。
そのような個々のニーズに対して、会社とアルムナイ人材、双方のタイミングと意志が合致した時にいかに繋がれるか?その点を意識し、「弱くても広い」ネットワークを形成しておくことが大切だと考える。

◎トークセッションを終えて

  • トークセッションの内容は参考になりましたか
    (参加者アンケート結果から)

    グラフ
  • 参加者の意見・感想は・・・

    非常に充実した内容で、大変参考になった。今後も施策の効果としてアウトプットを最大化するために、どうしたら良いか?を常に問いながら業務に従事したい 企業と個人双方からみたアルムナイの必要性がよく理解でき、共感できた 途中で実施したアンケート結果は、まさに知りたかった実態だった。リクルート社や外資系企業の現実的な動きには驚いたが、これもまさに社風だと思う リクルートやマッキンゼー・アンド・カンパニー等の企業をイメージすると、たしかにそのとおりで、アルムナイネットワークの運営をアルムナイの有志がやるか、会社が組織的にやるかなど、その企業の組織風土の影響も大きく受けることを再認識した アルムナイネットワークを運営しているが、一般の社員にどう活用してもらうのかに腐心している。外も中も関係なく、お互いが同じ志を共有し協業していけるプラットフォームを具体的に作っていかないと、交流が促進されていかないと痛感している 貴重な情報だったが、全体としては主観的な話が多かったので、もう少しデータに基づいた解説の割合が多ければ、世の中の動向と照らして正確な認識ができたかと思う
  • 登壇者の感想は・・・

    ハッカズーク 鈴木 仁志 氏

    ハッカズーク 鈴木 仁志 氏

    「お忙しい中、ご参加いただきありがとうございました。アンケートやQ&Aからも「なぜ取り組むべきか」という質問よりも「実現のために何をするべきか」といった質問が多く、この数年で企業のスタンスが大きく変化してきたことを感じました。企業とアルムナイの新しい関係が、企業と個人の関係をより良い方向へ導くことを望んでいます」
    「退職学」研究者 佐野 創太 氏

    「退職学」研究者 佐野 創太 氏

    「アルムナイは、個人と組織の関係を結び直すキーワードかもしれません。鈴木さんは「退職して戻ってきたからといって退職前の関係のままではなく、退職者個人も常に変化している」とおっしゃいました。硬直しがちな個人と組織の関係を、常に今を起点につくり上げる。アルムナイが、新陳代謝の良い組織づくりの一助となれば幸いです」