ホームセミナーセミナーレポートオンライン公開講座 2021年11月16日開催

セミナーレポート

オンライン公開講座

データを駆使する、データにもとづく“データ・ドリブン人事”への挑戦

株式会社インストラクショナルデザイン 代表取締役  中原 孝子 氏
株式会社ブリヂストン HRX推進・基盤人事統括部門長  江上 茂樹 氏

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4月から展開している「デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)」と人事」を考えるシリーズプログラムの最終回として、データにもとづく戦略人事の進め方をテーマに、公開講座を開催しました。
当日は、(株)インストラクショナルデザインの中原氏と(株)ブリヂストンの江上氏をお招きし、人事領域においてもデータにもとづいた分析や行動が求められるようになった昨今の状況について、その具体的な対応事例などを交えながら、お話し頂きました。

《PART1》 データ・ドリブン人事の実行に向けて
〜急速なデジタルワークスペースの浸透と人事の役割〜

インストラクショナルデザインの中原氏はまず、コロナ禍で変わった人々の働き方やその環境、そして人事戦略に与えた影響について解説しました。
リモートワーク環境の定着は、働く側にとっても企業選択の重要な要素となりました。マイクロソフト社が実施した調査によると、4割の人が今の会社を辞めようと考えているという衝撃的な結果があり、コロナ禍を経て、コミュニケーションやパフォーマンスマネジメントを含む、リモートワークへの対応がいかに重要となったかがわかります。マイクロソフト社では、Microsoft365にVivaという新たな機能を追加し、対応を始めました。
こうした変化に対応すべく、人事領域においても膨大な量のデータに基づいた分析だけではなく、さまざまなデータの組み合わせをベースとした戦略が必要となっています。そしてそれを実行していくデータ・ドリブン人材マネジメントのリーダー層とマネジメント層のスキル強化や、どのような環境でも適切で公平な評価ができる定義の確立など、様々な環境整備が求められています。

《PART2》 データにもとづく適所適財から事業戦略を実現する
〜ブリヂストンにおけるB-HRXの取り組み〜

次に、ブリヂストンの江上氏より、2050年に向けた企業ビジョンを実現するための人事戦略「B-HRX(ブリヂストン流人事トランスフォーメーション)」の概要説明があり、試行錯誤しながら進め始めた取り組みの紹介がありました。
この人事戦略の鍵である「適所適財(人財マッチング)」の実現には、テクノロジーの活用が欠かせないと判断し、取り組みを開始。事業戦略にリンクした戦略ポジションを明確化し、アルゴリズムを活用した人財マッチングを経て、戦略ポジションへ適材を配置し、異動者の活躍も支援します。ポジション要件やマッチ度が可視化できれば、あらゆる人事施策につなげられる、この人財マッチングアルゴリズムですが、その要件定義や候補者とのマッチ度次第で、かなり結果が左右されるのも事実であり、試行錯誤を続けていますが、なかなか難しいテーマです。
そして最後に、人事戦略を推進する人事部にとって大事なことは、前例に左右されないマインド醸成、何のための施行かを常に考える習慣づくり、人事部門間のコミュニケーション活発化等であると、締め括って頂きました。

《PART3》 対談 「データ・ドリブンな人事に変わっていくためには?」
最後に、中原氏が江上氏に質問する形式で、対談が行われました。
「戦略的な人事を進めるには、人事部門自体のスキルアップも非常に重要だが、実はあと廻しになっていることが多いのも事実」
「前例に従うのではなく、まずいろいろなものを試してみて、検証を繰り返し、本当にこれで良いのかを確認することが必要」
「データ・ドリブンで何かをやってみようとしたとき、一つのことだけではだめだということを忘れないことが重要」
など、実践を通じて得た様々なアドバイスを頂きました。

◎公開講座を終えて

  • 公開講座の内容は参考になりましたか
    (参加者アンケート結果から)

    グラフ
  • 参加者の意見・感想は・・・

    中原様より、現在のデータ・ドリブン人事の取り組みや、今後の人事のあるべき姿と展望等をご紹介頂いたが、たいへん興味深く面白い内容だった。翻訳された本もぜひ読んでみたい。また、江上様からのブリヂストンの取り組みも、試行錯誤しながら実行している過程を伺うことが出来、とても参考になった。あるべき姿というか、こういう世界観を弊社でも作りたいというワクワク感を持つことができた 中原様のフレームワーク、江上様の実践に基づいたお話、ともにたいへん参考になった。自社の取り組みを検討するにあたっては、今日の内容を振り返りながら進めていきたい 全体の流れを掴むことができた。各社の創意工夫を参考に、自社の取り組みについても見直すきっかけとしたい 人事部門では部署ごとにデータを保持したがる傾向にあるが、もっとオープンに情報を公開していく必要性と、“人事最適”ではなく“全社最適”のToBeを人事部門横断で検討する重要性を再認識した 江上様からご紹介頂いたアルゴリズムを活用した人材マッチングにおいて、デジタル人材を発掘する手法や、アルゴリズムの検討内容をもう少し詳しくお伺いできればと思ったが、試行錯誤しながら進めていく手法に共感した。失敗を恐れずに、まずはやってみることですね 江上様の取り組み内容がとても参考になった。弊社はまだまだ小さな会社なので、実現には困難な部分もあるが、本日のセミナーで人事の役割を伺い、自ら行動を変えていくことが全てにつながっていくのだと感じている。いま出来ることを改めて検討したい リモートワークは急速に増加したが、その中で採用が激化したり、データ・ドリブンが日常のワークフローの中に入ってきたり等の変化もあったのだと気付かされた。また、新しいソフトの紹介などもあり、たいへん勉強になった データ・ドリブン人事を推進するにあたり、とても参考となる事例だった。一方、現有人材の内製化で進めるにはスキルが足りていないとも感じたので、今後はデータサイエンティストやピープルアナリティクス等に長けている人材の採用も考えなければならない 貴協会のセミナーに初めて参加したが、日頃、自分が考えていることや悩んでいることと共感できる話が多く、たいへん参考になった 江上様の具体的な取り組みに基づく講演は、とても参考になった。今後もコンセプチュアルなものより、地に足のついた、具体性のある内容をベースとした、AI/HR Tech関係のテーマを希望したい
  • 登壇者の感想は・・・

    株式会社インストラクショナルデザイン 中原 孝子 氏

    株式会社インストラクショナルデザイン 中原 孝子 氏

    「“データ・ドリブン人事戦略”というと、何か大きな挑戦のように聞こえてしまうかもしれませんが、実は、人事部門は、もともと情報(データ)の宝庫です。今持っているデータを戦略的な軸を持ったフレームを使って整理することから、データ・ドリブン人事への第一歩を踏み出すことができると思っていただければ幸いです」
    株式会社ブリヂストン 江上 茂樹 氏

    株式会社ブリヂストン 江上 茂樹 氏

    「今回はこのような機会を頂き、ありがとうございました。中原様のフレームワークのご説明に続き、私から弊社の事例をご紹介することで、少しでも皆様のヒントになったとしたら、嬉しく思います。まずは一歩踏み出すことが大事だと思っていますので、失敗を恐れずにチャレンジしてみてください!」